カウンセリングで「ゆっくり変わること」を勧める理由

カウンセリングの現場では、「少しずつゆっくり変わりましょう」と伝えることがあります。

一歩一歩、着実に変化していきましょうという意味もあるんですけど、「少しずつ」「ゆっくり」変わることがベストである理由がちゃんとあるんですね。

 

とはいえ、「早くできること」「大きく成長すること」「より効率的であること」が良しとされている社会。

 

特に、私のところにいらっしゃるクライアントさんは、我慢づよく頑張り屋さんで、お仕事でも責任のある地位についている方が多いので、

「ゆっくり」「少しずつ」「行きつ戻りつしながらも」変化していくというのは、じれったく感じるかもしれません。

 

この記事では、なぜ、心理カウンセリングで少しずつゆっくり変わることを目指すのか、その理由についてお伝えしていきます。

この記事の目的:
・早く一気に変わりたいと焦る気持ちを和らげるため
・安心して心理カウンセリングを受けてもらうため
・小さな変化の大切さに気づいてもらうため
・心理カウンセラーやセラピストの知識向上のため

 

斉木智美
斉木智美

理由を知ることで焦る気持ちが減ると嬉しいです

目次

なぜ、少しずつゆっくり変わることがベストなのか?

なぜ心理カウンセリングでは、「少しずつゆっくり変わっていきましょう」というのか。

 

以前の私も、カウンセラーさんから「一つ一つゆっくりと」と言われたことがあります。当時、外資金融バリキャリだった私は、

斉木智美
斉木智美

一回のセッションで2つ悩みを解決するとか、
もっと効率よくスピーディーに出来ないのかな…

と正直、思っていたんですね(笑)

 

だって、行き詰まっている状況下のクライアント側からしたらですよ、

 

いやいや、今行き詰まっていてめちゃくちゃ苦しいんです。「ゆっくり変わろう」なんて悠長なこと言ってないで、今すぐ、すべての悩みを解決したいんです!!

 

というのが本音じゃないですか。

だけど、いざ自分がカウンセリングを提供する立場になって感じるのは、やっぱり

「少しずつゆっくり変わること」がクライアントさんにとってのベストなんですよ!

斉木智美
斉木智美

なんだか手のひらを返したようですが…笑


なぜそういうかというと「少しずつゆっくり変わること」が

【一番着実にリバウンドなく】変われるスピードだから、です。

 

実際、カウンセリングをしていると「私には時間がないんです!!今すぐ何とかしてください!!」とプレッシャーをかけてくる方もいらっしゃいます。

 

ですが、早く変わりたいと急いでいる方にこそ、着実に変化してほしいので、理由をお伝えして、一緒にじっくり取り組ませていただいています。

 

少しずつゆっくり変わったほうがいい理由は2つあります。

 

中でも2つめの理由は、私がカウンセリングの現場で感じた持論です。他で見たことがないので、ぜひシェアしたいと思います。

 

理由1:一気に早く変わろうとすると抵抗がおきるから

一つ目の理由は、一気に大きく変えようとすると抵抗が起きるから、です。


もともと、私たちの脳って、変化を嫌うんです。

心理学的ホメオスタシス(心理学的恒常性)というんですけど、

 

私たちが変わろうとする時に変わらないように働くものなんですね(やっかいですねー)。

 

しかも、この心理学的ホメオスタシス、無意識的に発動するものだから、いくら意識で頑張って止められないんです(やっかいですねー2回目)。

 

意識では「今のつらい状況から抜け出したい!」と願っても、

 

変化を嫌う脳は、「未知の状況になるくらいなら、今の勝手知ったつらい状況のままでいたい!!」と無意識に足をひっぱる。

だから、「一気に」「早く」「大きく」変えようとしても、結局は元に戻ってしまう、、、というメカニズムが、私たちには備わっているってことなんですね。

 

斉木智美
斉木智美

だから、変化に対する不安や怖さは

自然なことなんです。^^

 

「早く」「大きく」「一気に」変わろうとするほど、変わらないための抵抗感も強くなるってことだから、

じゃあ、どうしたらいいかというと、脳の「変わりたくない」抵抗に合わないために、少しずつ変わった方がいいわけです。

 

じわりじわり、自分でも「こんなんで変わったって言えるの?!」と思うくらいの、小さな変化を積み重ねていく。

 

この話をするたびに、オリエンタルラジオの武勇伝ネタを思い出すんですけど↓

毎日バス停2ミリずらす
三年後には我が家の前へ
武勇伝 武勇伝
武勇 でんでんででんでん
レッツゴー!
(オリエンタルラジオ・武勇伝ネタより)

 

↑これは極端な例ですが(笑)、

「変化を嫌うもう一人の自分の抵抗」を避けつつ、最大限変化することをサポートする。

 

そのバランスを見ながらカウンセリングを行っています。

 

斉木智美
斉木智美

でんでんででんでん

 

理由2:頑張り癖・完璧主義を強化しないため

2つめの理由は、
私が実際カウンセリングの現場で感じたことがベースとなっています。

早く変わりたい、一気に変わりたい方を見ていると、

これまで頑張ることで問題を乗り越えてきた人たちが多いんですね。

 

「頑張らないと」「早く終わらせないと」「ちゃんと問題解決しないと」「成長し続けないと」と、自分のキャパを越えても頑張ろうとしてしまう。

 

その頑張り癖や完璧主義、正論を主張したり、早く早く!って焦って生きる、


「その生き方が悩みを作り出している」ことが多いんです

 

自分に対して、過剰な頑張りを課したり、完璧さを求めたり、優秀さを求めすぎるが故に、自分の欠点が目について、

苦しくなったり、悩みが作られてしまう、、、ってことが、よくあるんです。

 

そして、この頑張りパターンは、カウンセリングの現場でも発動するので、

一度にすべてを解決しようとしたり、一気に大きく変わろうとしたり、完璧に問題解決を使用としたり、早く変わりたくて焦ってしまう。

 

だからこそ。

 

「頑張り屋さん」で「焦っている」時ほど、少しずつゆっくり変わる必要があるんです。

 

なぜなら、「早く」「大きく」「一気に」変わろうとするほど、

悩みの根本原因である「頑張りすぎパターン」を強化することになるから、です。

 

ここ、すごく大事なポイントなんですけど、

頑張り癖が悩みの原因で、そこを緩ませて解決したいのに、

カウンセリングで頑張って「大きく一気に」変わろうとすることで、もともと持ってる「頑張りすぎるパターン」を強めてしまう、、、ということが起こるんです。

 

頑張りぐせを頑張って解決します!とか

完璧主義を完璧に治したいです!

みたいに、本末転倒になってしまう。

 

特に「頑張り屋さん」や「焦っている」時って、


「ちょっとしたことで満足すること」が出来ません。

 

だからこそ、

心理カウンセリングを通して、

「ちょっとした変化」や「出来たところに目を向けて」、その少しの変化に満足する体験を重ねること。

 

このプロセスがとーーっても大事なんです。

 

カウンセリングを受けることで、単に悩み解決をするだけではなくて、

・(大きな成果を望んでしまうけど)少しの変化を認める心を育てる


・その少しの変化に満足する心を育てる

 

そうすることで、悩みを作り出している
頑張りグセや完璧主義を間接的に緩めていくことが大事なのです。

 

斉木智美
斉木智美

だから、少しずつゆっくり変化していきましょう、
とお伝えしています。

 

カウンセラー自身も頑張り癖を手放そう

そして、カウンセラー自身も頑張りグセを解決しておかないと、本当にほんとーーーに無意識に、

むしろ「善かれと思って」クライアントさんを頑張らせてしまうってことが起こります。

 

カウンセラー自身が、早く変わること、大きく変わること、一気に変わることを善きこと!って無意識にでも思っていると、自覚すら出来ないまま、

 

2つめの理由に挙げたような「クライアントの問題強化」を行ってしまいます。

 

カウンセラー自身が持っている「頑張り癖」が未解決だと、「行動したり頑張ったり、結果を出すこと」に重きを置いてるから、

カウンセリングの現場においても、無意識的にクライアントを頑張らせてしまうんですね。

 

そして、ほとんどの場合、クライアントの悩みを強めていることに「カウンセラー自身が気がつけていない」です(自戒もこめて書いてます)。

だからこそ、カウンセラー自身も定期的に心のメンテナンスが必要なんですよね。このお仕事を続ける上で、とても大切なことです。

少しずつゆっくり変わろう〜アゲイン


数十年繰り返してきたパターンを、一気にすべて変えようとすることは、当然、心身に負担がかかります。

ふだん運動していないのにいきなりスタートダッシュしたら、身体を痛めるし、

いくら新陳代謝を高めたいからって、一気にピーリングしたら却って皮膚に良くないわけで。

「大きく変わりたい」「早く変わりたい」と思ってしまうけど、心には心のペースがあります。

心は強いけど繊細なのです。

 

斉木智美
斉木智美

適切に変わるスピードは、
心と身体が知っています。

 

とはいえ、とはいえですよ、

早く変わりたいお気持はよーーーく分かるので、

 

ゆっくり着実に、かつ、最短で最大限変わることも念頭にいれて、カウンセリングをしています。

まとめ
「少しずつゆっくり変わる」には2つの目的があります。

・リバウンド防止
・原因となる思考パターンを強化しないため

 

2つめの内容は、クライアントさんには説明していませんが、現役カウンセラーさんにもクライアントさんにも知っていただきたい内容なので、書きました。

 

焦る気持ちがありつつも、少しでも落ち着いて安心してカウンセリングを受けてもらえたら嬉しいです。

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