親を許さないと幸せになれないですか？

先日カウンセリングで、こんな質問をいただきました。

「親を許せないままだと、幸せになれないですか？」

「親と和解していないと幸せになれません」といったメッセージを見たことがある方もいるかもしれません。

まず結論からお伝えすると、
親を許せないままでも 幸せになれます。

ただ、確かに親を許せない気持ちが幸せへのブレーキになるケースもあります。

この記事では、「親を許せない気持ち」と「幸せ」についてお伝えします。

そもそも許すって何？

そもそも論として。
許しって「結果として起こるもの」です。

許す・許さないは 気持ちの問題なので、

いくら理屈で「相手に悪気があったわけじゃないし」とか「もう過去のことだし」と自分を納得させようとしても、

気持ちがついてこなければ、やっぱり許すことは出来ません。なので、誰かを許したいのに許せないのだとしたら。

そこには、許せないだけの気持ち（感情）がまだ残っているということです。

そして、その気持ちが収まったその先に「結果として」許しが訪れるのです。

親を許せない理由

 

その「許せない気持ち」の根底にあるのは、「悲しみ」と「怒り」です。

もし親を許せないのだとしたら、

「親からされたこと」への悲しみと怒り、
「親からしてもらえなかったこと」への悲しみと怒り

が残っている、ということです。

親子だからこそ、「してもらいたかったこと」への期待も高くなるし、それが叶わなかったときの「悲しみと怒り」も強く感じてしまうもの。

そして、当時のその気持ちが癒えずに、引きずっているからこそ、「親を許せない」状態が続いているのです。

親を許せない気持ちから抜け出す方法

親を許せない気持ちでいっぱいだけど、そこに囚われている状態からはもう抜け出したい。

そのためには、許せない出来事での感情が減っていくことが必要です。

許せない気持ちが緩まるには、いくつかの道があります。

1. 見方が変わる

許せないと感じていた出来事も、見方を変えることができると「許し」につながります。

見方が変わるというのは、相手の背景や事情が理解できるようになる、ということ。

なぜ、親は自分に対して「許せない行動」をとったのか？

当時は分からなかったり、分かっていたとしても抵抗感があった相手の事情が受け入れられると、

相手を責めたり、とがめたくなる気持ちから解放されていきます。その結果として「もういいか…」と許せるようになっていくんです。

よく「時間が解決してくれる」というのは、

さまざまな経験を通して精神的に成長し、当時とは別の見方ができるようになることで、

相手の状況が理解できたり、時とともに自分の気持ちが癒えていくからです。

、、、ただ、この方法だと時間がかかるんですね。

許せない気持ち真っ只中だと、仮に相手の事情が分かったとしても、なかなか気持ちは収まらないものです。

頭で分かっていても気持ちがついてこない時こそ、心理カウンセリングの出番なんです。

2. 許せない気持ちにアプローチ

心理カウンセリングでは、「許せない」その奥にある気持を解消していきます。

「親からされたこと」への悲しみと怒り。
「親からしてもらえなかったこと」への悲しみと怒り。

許せない出来事が起きたときの、当時の自分の気持ちを減らすことで、執着を手放していきます。

すると、許せない出来事そのものは「記憶」として残りますが、それを思い出したときに湧き上がってくる「許せない気持ち」が出てこなくなります。

ちなみに、許せない時って「怒る気持ち」がフォーカスされやすいのですが、

実際カウンセリングをしていると、

「されたこと」「してもらえなかったこと」への悲しみを充分味わうことで、許せない気持や執着が消えることが多いです。

「許せない気持ち」の奥に残っている感情を消化することで、結果として許せるようになることをしています。

さらにセラピー的観点でいうと、別の解決法もあります。

許すことが解決とは限らない

これはあくまでも、個人的な意見になりますが、

「許すことが解決」とは限らない

と思っています。

心理カウンセリングには様々な過去をもった方がいらっしゃいます。本当にひどいことをされて、それを我慢し続けてきた方にとっては、

「許せないと拒むこと」が生き方を変えるキッカケになるケースもあるんです。

悪いことをした相手を許すという着地点は、丸く収まる感じもするし、人道的にも”良いこと”な気もします。

だけど、心理の面からすると「許さないことを選択する」という解決法もあるんですね。

許せないことをされたときに「許そう」とするんじゃなくて、「許さない」ことを、自分に許可してあげる。

ひどいことをされた時に、許したり迎合するのではなく、「許したくない」と相手の言動を拒絶することで、

「自分を守ること」が必要な方もいるのです。

カウンセリングでは、着地点をどこにするのか相談しながら、その方にとって最善の解決法をサポートしています。

許す・許さないより大事なこと

今、どうしても親が許せないとして。この先、許すかもしれないし、許さないかもしれません。

そして、冒頭にも書いたとおり、許しは「結果をして起こるもの」です。

なので、許すことを目指すより、
今すぐやっていただきたいことがあります。

それは、

自分の人生のハンドルを
過去の原因に握らせるのではなく、

自分の手に取り戻すこと。

許せない相手や出来事にずっと囚われ続けたり、
自分が不幸になることで間接的に復讐するといった、

「過去に引っ張られながら、現在を生きる」ことを今すぐ辞めるのです。

親を許したいけど許せない、、、でもそしたら、幸せになれないかも、、、でもあんなことされて許せないし、、、

葛藤していると意識がネガティブに向くので、
「親を許せてないと幸せになれません」が
現実になってしまいます。

親を許していないままでも幸せな人はいます。

正解もルールもないからこそ、どうするのかを自分で決めていいのです。

「ひどいことされたから、今は許せない」
「そして、この私のまま幸せになる」

そう決めて、前へ進むのです。

そして、あなたが幸せになった時、過去の許せなかった出来事も、また違って見えるかもしれません。

幸せになることで、許せる過去が増えていくこともあると思います。

あの経験があったからこそ、今の私がある。そう思える日がくるかもしれません。

許せない気持ちでいっぱいだったり、許せなくてモヤモヤしていたら、幸せが入ってくるスペースもなくなります。

悩んで気持ちが揺れたり、考え込むくらいなら、
「今は許せない」と決めて前へ進むこと。

目的地に意識を向けるのです。

最後に

親を許せなかったら幸せになれないですか？

私の答えは、
「親を許せないままでも 幸せになれます」

あなたが自分でそれを許可するだけなのです。

一歩を踏み出すのはすべて自分から。私はカウンセリングを通してそれをサポートしています。