この記事を書くキッカケになったのは、ある新規クライアントさんからの一言でした。
「ビリーフチェンジってパクリなんですか?」
「斉木さんの技術を疑うわけじゃないけど、バッタもんだったら効果でなさそうで不安です」
これまで自分なりに思うことはあっても、発信してこなかったこのテーマ。
この記事では、「ビリーフチェンジがパクリなのか」、また「それに対する私の見解」についてお伝えします。
誤解があったり、読んで嫌な思いをする人がいるかもしれないですが、率直な気持ちを書きました。
ビリーフチェンジと私
ビリーフチェンジとは、「ビリーフ」と呼ばれる信念や思い込みを変えることで、悩みの根本解決を図るという心理療法の一つです。
私が心理セッションやコンサルを提供する上で、コーチング、NLPとともに、主軸を担っている手法です。
2011年にプロセラピスト養成講座でビリーフチェンジを学び、その翌年、新しく始まった「ビリーフチェンジ認定講師トレーニング」に参加。
一年間の講師トレーニングを経て、ビリーフチェンジを教える講師としてデビューしました。
私は、講師になる前から棚田先生の秘書をしていたこともあって、講師のお仕事以外にも、会場えらびや協会の経費管理、利益率の計算といった、裏方の仕事も担っていました。
棚田先生のもと、クレーム処理のしかたや、協会の運営方法、ビジネスや集客について学ばせてもらい、本当に貴重な経験をさせて頂いたと思います。
「心理セラピストを育成する」のは、簡単なことではありません。
大きな悩みやトラウマを抱えた人もいましたし、誤解されたり、こちらの善意が悪意に受け取られたり、、、ということもありました。
それでも私はビリーフチェンジが大好きで、素晴らしいものを広めたい情熱があり、それによって幸せになる人が増えたらいい。
心からそう思い、協会の運営や講師をしていました。
そんな大好きだったビリーフチェンジの認定講師を、私は2019年に退任しました。
認定講師をやめた要因は、いくつかあります。一つではありません。
その要因の一つは、この記事で書く「パクリ騒動」でした。
ビリーフチェンジってパクリなんですか?
ビリーフチェンジはパクリなのか。
結論からいうと「私には分かりません」というのが答えです。
どちらか自分なりの答えをハッキリ言いたいですが、私自身、パクリ元と言われる心理療法の講座を受けていないので、なんとも言えません。
その心理療法を学んだ卒業生の中でも、「ビリチェンのテキスト、まじパクリじゃん、だまされた!」という人もいれば、「パクリかもしれないけど、ちょっと違う」という人もいて。
「〇〇に関する部分は、テキストがそっくり同じだった」という意見も聞きました(これは話を聞いた人全員そう言うので事実なのかもしれません)。
パクリだということで、ビリーフチェンジから離れてしまった卒業生も多くいるので、全員の話しを聞けてませんが、それでも、たくさんの卒業生から様々な意見を聞きました。
そして。
ビリーフチェンジに対して「パクリだと思う人がいて」「騙された!」と感じる人がいる。
本当に悲しいことですが、それは事実です。
パクリだと知っていたのか?
私自身、ある卒業生から「実はビリチェンってパクリなんです。テキストも丸々同じで。」と教えてもらった時には、本当にびっくりしました。
たしか、2018年夏頃だったと思います。
え?え? どういうこと????
自分の思考も気持ちも凍りついてしまい、その卒業生の話す内容も言葉として理解はできるものの、ぜんぜん入ってこなくって。
パクリ元だといわれる心理療法のことは以前から知っていて、「同じようなことをしている別の心理療法」という程度の認識でした。
NLPやコーチング業界でも、「同じような内容を教えている別団体」は沢山あって、そんな感じだろうという程度で。
まさか、自分が大好きで「素晴らしいセラピー手法」と思って教えていた内容が、卒業生に「パクリ」だと言わせる内容だったとは。
本当に愕然としました。
続けて、棚田先生もその心理療法の卒業生であること、私以外の認定講師もその心理療法の講座を学んでいて、そこでセッションを受けていること。
ビリーフチェンジ短期集中講座の内容も「ゆるしのメッセージ」という本をコピーしていること、
他にも色々教えてもらいましたが、正直、ショックすぎて細かい話しは覚えていません。
それから数ヶ月間。
私は、いろんな想いに苛まされました。
知らなかったとはいえ、パクリの片棒を担いで大変なことをしたのではないか?
良かれと思って伝えてきたけど、本当に良かったんだろうか?
特に、他のビリチェン講師が「パクリ元の講座を受けている」「ビリチェンではなく、そこのセッションを受けている」と聞いたときには、憤りを感じました。
その疑惑を知りながら平気な顔して「ビリチェンで人は変われます」と教えていること。
自分はパクリ元のセッションを受けているのに
「ビリーフチェンのセッションで楽になりました!」という嘘の発信。
何を信じたらいいのか分からなくなった時もありました。
疑いや迷い、不安や嫌悪感。
なんとも言えない感情でした。
仮にパクリだったとしても、そのことを知っていて自分なりに納得した上で、ビリチェン講師をしていたなら そこまで悩まなかったと思います。
だけど、事実関係が分からない中で、それでも講師として立ち続け、新しい認定講師を育てていく。
混乱もしたし、卒業生から「パクリ」と言われるのも悲しかったし、こんなことに巻き込まれてることにも怒りを覚えたし、自分でも一杯一杯になっていたと思います。
それでも揺るがない想い
それでも冷静になって、考えたこと感じたことがたくさんありました。
まず、前述したとおり、ビリーフチェンジがパクリなのかは、私には分かりません。
だけど。
仮にそれが模倣された内容だったとしても、私がビリーフチェンジで楽になった事実は変わりません。
ずっと自分を責めて否定して、人の顔色を伺って生きてきた。そんな当時の自分を救ってくれたのは、ビリーフチェンジの理論であり、セッションでした。
我慢していることにすら気づかなかったし、自己否定がデフォルトすぎて、「結婚ムリ」「仕事で結果ださないと」と思っていた私が、
結婚して、起業して、会社つくって、好きな仕事を自分のペースで出来ている。
本当に人生が変わったんですね。
同じように、クライアントや講座の卒業生さんたちも、ビリーフチェンジを受けて楽になったり、結婚したり、転職したり、子育てが楽になったり、収入があがったり、嬉しい報告をしてくれている。
その事実は変わらないし、それがあるからこそ、私の中の「ビリーフチェンジに対する信頼感」も変わりませんでした。
もしこの手法がパクリだったら「効果があるか不安」というお気持ちも分かります。
それでも、私は自分自身の経験や、ビリーフチェンジを提供してきた10年間を信じています。
セラピーの現場で見てきた、長年の悩みから解放されたり人生が変わっていく、その効果を信じています。
ビリーフチェンジを学んだからこそ、次に「やりたいこと」が見えてきたという人もいると思います。講座に参加したからこそ、出会えた人たちもいると思います。
ビリーフチェンジと出会ったことによる良い変化や影響を、パクリ疑惑があるからといって無いことにしないでほしい。
心からそう思います。
誤解されないために
一方で、もし私が受講生で自分が学んだものがパクリだったと知ったら、やっぱりいい思いはしないです。
世の中には、真似したくなるほど素晴らしいものが沢山あります。
「あー!それ、私が言いたかったことズバリだー!!」と、他者の才能や文章に嫉妬しパクリたくなるときもあります。
それでも、講座を提供する立場として思うのは、
他人の著作物をコピーするなら、「引用元」をしっかり表記すべきだということ。
今回の件も、「引用元」「参考文献」を表記していたら、パクリと言われることも騙されたと感じる人もいなかったと思うんですよね。
だから、コピーすることが悪いんじゃなくて、コピー元への敬意もこめてきちんと表記すること。すごく大事なことです。
当事者間の問題ですよね
そして、もう一つ。
パクリ疑惑がある場合、それは「パクった人」と「パクられた人」の二者間の問題だと思ってます。
必要なら、本人同士が話し合って必要な措置をとったらいいし、
それを学んだ人が「別の心理療法をパクったものを教えられた、騙された!」と怒るなら、張本人である協会に伝えたらいい。
何の対処もとらずに怒り続けていたり、パクられた人の代弁として怒るのも筋違いな感じがしています。
「ビリチェンの卒業生とは絶交です」的なスタンスにも、正直疑問を感じます。
ビリチェン卒業生だからという理由でセッションを断わられたケースもあるようです。断られた理由が「パクってひどいことしたビリチェンの卒業生だから」。
数名からその話しを聞いて、本当に悲しくなりました。
断ったのも断られたのも同じビリチェン卒業生で、
クライアントとして悩みを解決したい気持ちだって、お互い理解しているはずなのに。
困っている人に手を差し伸べるのに、ビリチェン卒業生か否かって全然関係ないのに。
(大きなお世話だけど、感情に飲み込まれて冷静な判断が出来なくなっている「断ったカウンセラーこそ」セッション受けることが必要だと思いました)
ビリーフチェンジを学ぶと決めたのも自分。
その当時、ほかの心理療法を知らなかったのも自分。
すべて、自分が選択し決断したことです。
そこで大事になってくるのが、
心理療法の基本的スタンスである「すべて自分に還していくこと」「主体的に生きること」だと思っています。
パクりパクられ、進化していく
私自身いろんな感情がありながらも、
課題を自分に戻す中で ある卒業生にこう言われたんです。
智美先生ね、心理療法の歴史をみると、
フロイト、アドラーの時代からずっとパクリの連続なんですよ。
だから、この業界は、
すでにあるものをパクって修正して進化させて、
それをまた別の人が真似して、、、っていう、
著作権があってないような業界で、
そうやって、人を幸せにするものを進化させるために
みんなで取り組んでいるんです。
おそらく、
棚田先生はパクリとか気にしてないと思うし、
智美先生も、気にせず、
やりたいようにやったらいいんです。
これを聞いた時、心から解き放たれた気がしました。
すでに認定講師をやめていましたが、心のどこかで「パクった内容を教えたのかも?」という不安や罪悪感があったのかもしれません。
その卒業生さんの言う通りで、ビリーフチェンジ の主軸である「ビリーフ」は交流分析(TA)の禁止令から来ているものだし、愛着理論も、感情処理法も、もともと以前からある概念です。
それを組み合わせたところにオリジナリティ(独自性)があるとはいえ、あいまいになりやすいのかもしれません。
(著作権については、詳しくないので間違ってるかもしれません。テキスト完コピはさすがにアウトだと思います。)
まとめ:これからの私。
改めて、パクリかどうか事実は私には分かりません。正直なところ、今は「どっちでもいい」と思っています。
仮にパクリであったとしても、私が得た知識や経験がゼロになるわけではないし、よかった部分だって沢山あったわけです。
大事なことは、クライアントさんの悩みが解決し楽になっていくこと。
ここから意識をズラしちゃいけないですよね。
今回のことでたくさん揺れて、何度もこの原点に立ち還りました。
手法は二の次です。
カウンセラーの質にしても、「ビリチェン悪、〇〇手法は良」と手法だけで決まるものではありません(私自身、セラピーの勉強や経験より「子育てしたこと」でセラピーが上達したと感じます)。
何を学んだかに関わらず
クライアントさんの悩みが解決し楽になるために、
日々精進すること。
パクったパクられたと言ってる時は、「何のために」という目的を忘れているのかもしれません。
今回のことがあって、私は「自分が信じるものを伝えたい」という想いが強くなりました。
パクリ疑惑があるものに関わりたくないという気持ちもあります。
認定講師を7年経験して、ビリーフチェンジを深く理解し 実践しているからこそ、長所も欠点も分かっているので「それを補うような自分の手法を創ろう」と思っています。
私に心理セラピーの基礎を教えてくれた棚田先生をはじめ、これまでセラピーの進化に携わってきた人たちへの敬意を持ちつつ、
それをさらに進化をさせるための一員として、セラピーの実践経験を活かしたい。
そんな想いもあって、2019年協会と認定講師をやめました。
今回、こうして、自分の中で「タブーな内容」を書くにあたって、卒業生が傷つくのでは?嫌な思いをするのでは?と、迷った部分もあります。
協会の認定講師をやめた今でも ビリーフチェンジが大好きだからこそ、誤解されたくない思いもありました。
単に集客目的なら、耳障りの良い言葉を並べることも出来たと思います。
それでも。
もう本音でしか生きられない。
そう思う私がいます。
この記事を書くキッカケとなった冒頭のクライアントさんも、その後セッションを受けて嬉しい報告をいただいています。
セラピスト仲間や昔からのクライアントさん、卒業生たちの励ましも、この記事を書く後押しとなりました。本当にありがとうございます。
2021年は、素直な想いを出していく、その一歩として書きました。
ということで、本年もどうぞよろしくお願い致します。