
自分の感情をコントロールできていますか?
と訊かれたら、「はい、できてます!」と答えられる人は少ないと思います。いや、いないんじゃないかな…。
「怒らないようにしたい」「もっと前向きになりたい」と思っても、なかなかうまくいかないものです。
そもそも、感情をコントロールしようとする試み自体が、ムダな努力、、、なのかもしれません。
今日はそんな「感情との付き合い方」についてお話しします。
感情は「自分の中に住む他人」
長年カウンセリングをする中で感じるのは、
感情は自分の一部でありながら、完全にコントロールできるものではない
ということです。
いわば、感情は「自分の中に住む他人」のようなもの だと思うんですね。
自分の内面に起こるものだから、コントロールしたい、ネガティブな感情を感じないようにしたいと思ってしまうけど、
自分の中に住む「他人」だから、思い通りにならない。
黙って!と言っても騒いでくるし、あっち行って!と言ってもズンズン押しかけてくる。
それが 感情の性質 なのです。
この考え方に至ったのは、ある40代の女性クライアントとの出会いがキッカケでした。
彼女は「怒りを感じること自体がダメなこと」と思い込み、怒りの感情を完全に無くそうと努力していました。
しかし、怒りは無くなるどころか、とつぜん爆発したり、体調不良や人間関係の悩みは増えるばかり…。
「怒りをコントロールしたい。怒りを感じないようになりたい」と話す彼女に、こう問いかけたんです。
「もし怒りがあなたとは別の存在、あなたの中に住む他人だとしたら?コントロールしようとするより、その声に耳を傾けてみませんか」
すると彼女はハッとした様子で「自分の怒りと対話するなんて考えたこともなかった」と、新たな視点に気づいたようでした。
なぜコントロールがうまくいかないのか
私たち、特にアダルトチルドレンとして育つと「自分の感情は我慢すべき」「しっかりコントロールしなきゃ」と思っている人が多いです。
しかし、もし感情が「自分の中に住む他人」なら、それを完全にコントロールしようとするのは、
まるで他人の思考や行動をコントロールしようとするのと同じくらい難しいことなのです。
実際、感情をコントロールしようとすればするほど、かえって感情は強くなり、私たちを苦しめます。
一時的には感情を我慢できたとしても、とつぜん爆発したり、家族への八つ当たり、無気力、頭痛や腰痛など、
形を変えて、私たちに戻ってきます。
私自身、以前は「怒ってはいけない」「不安を感じるのは弱いからだ」と思い込み、感情をコントロールしようと必死でした。
しかし、その努力は逆効果。感情を抑えることに疲弊してしまい、平日は脱いだ洋服も片付けられず、週末はぐったり寝たきり。
プライベートも楽しめず、「仕事命」な生き方になってしまい、抑え込んだ感情はより強く私を苦しめました。
感情との新しい関係づくり
感情を「自分の中に住む他人」と考えると、接し方も変わるはずです。
変えようとするのではなく、理解しようとする
コントロールしようとするのではなく、まるで親友に接するように、感情に寄り添い、共感する。
するとネガティブな感情は自然と和らいでいきます。感情に振り回されることが減り、落ち着きを取り戻せるようになるんですね。
カウンセリングルームでの実践
この「感情への寄り添い」は、私のカウンセリングの基本にもなっています。
その際「どんな感情に寄り添うか」が肝だと思っています。
アダルトチルドレンさんは、子どもの頃からずっと感情を我慢してきたので
「自分がどんな感情を感じているか分からない」
という方も多いんですね。
怒ると涙が出てくるので「自分は悲しいんだ」と思っていたり、
怖すぎて頭が真っ白になるので、自分の気持ちが分からなくなってしまったり、
本当は悲しくてつらいのにイライラしたり。
ご自身が認識している感情と、寄り添うべき感情がズレていることが多々あるんです。
自分では「イライラしている」と思っていても、本当は悲しいと感じている。そんな時、寄り添うべき感情は「悲しみ」です。
「イライラするよね」と寄り添っても、その気持ちが増えるだけで、スッキリしないはずです。
・寄り添うべき感情を見極める
・感情に寄り添い、共感する関わりをする
ビリーフ(思い込み)をゆるめるためにも、上の2つは必須です。
まとめ:感情は「自分の中に住む他人」
感情は敵ではなく、あなたの大切な一部、、、なんですね。
あなたの一部なんですけど、コントロールできない領域のものなんです。なので、いっそのこと「他人」だと思って接すること。
そう思うことで、
「感情をコントロールしなきゃ」と頑張りすぎたり、
「気持ちがコントロールできなくて、、」と自分を責めることも無くなるはずです。
他人なのだから命令したり言うこと聞かせようとするのはやめて、まず相手の話聞いて理解しようとする、その姿勢が大事なんですね。
感情は自分の中に住む「他人」です。
「他人だから思い通りにならなくて当然だよね」
「あなたはどう感じてるか、聞かせて」
相手を尊重し寄り添うことで、感情との新しい関係が始まります。
穏やかな気持ちでいる時間が増えると幸福度も上がるので、ぜひ試してみてください。