「自分を責めたり罪悪感が強くて、苦しいんです」という方は、意外に多いです。かつての私も、ずっと頭の中で自分を責めていました。
自分が失敗した時はもちろん、たとえ相手に原因がある時でも「結局私が悪いんだよね」と自分を責めてしまうから、本当に苦しいんですよね。
この記事では、いつも自分を責めたり罪悪感に苛まれている方へ向けて、その解決法と心理のメカニズムをお伝えしていきます。
自分責めと罪悪感の原因は「怒りの抑圧」です
結論からいうと、自分を責めてしまったり「私が悪い…」と罪悪感を感じてしまう、その原因は
「あなたが怒りを我慢しているから」です。
一見、何の関係もなさそうな「怒り」ですが、実は深いところでつながっています。怒っちゃいけないと我慢ばかりしていると、それに比例して「自分を責める気持ち」や「罪悪感」も強くなっていく。そんな心の仕組みがあるのです(後述します)。
裏を返すと、いつも自分を責めてしまう人や「私が悪い」と罪悪感を感じる人は「怒れない人」とも言えます。
ここでいう「怒り」とは:
⚫︎ 腹が立ったり頭にくる気持ち
⚫︎ 不満
⚫︎ 納得がいかない
⚫︎ 理不尽な思い
⚫︎ 嫌だという気持ち
⚫︎ 許せない気持ち
なぜ、怒りを我慢すると、自分を責める気持ちや罪悪感が強くなるかというと、
「我慢した怒りが自分に向いてしまうから」です。
怒りを感じた時って、腹がたった「相手や対象」がいるじゃないですか。
お皿洗わない「夫」が腹たつとか、仕事しない「上司」が許せないとか、気を使わない「〇〇さん」にイラっとしたとか、怒りを感じた相手がいるわけですよね。
その相手に向けるべき「怒り」を我慢して出さずにいると、行き場を失った「怒り」が自分に向いてしまうのです。
これを「反転」っていいます。
本来、相手に向けるべきものを自分に戻してしまうことです。
なので、「相手に怒りを出せるようになる」と、自分責めも罪悪感も自然に緩んでいきます。
では、怒りが出せるようになるために、怒りのついて理解をもう少し深めていきましょう。
怒りを向ける先は3つ
我慢した怒りが自分に向いてしまうと書きました。私たちが怒りを感じた時、その怒りを向ける矛先は実は「3つ」あるんです。
もう少し具体的に「3つの向け先」を見ていきましょう。
いつも自分を責めたり罪悪感が強い人は「3つめ」がすごく大事なので、3つめまで読んでくださいね!
1. 「相手」に怒りを向ける
1つめは、「怒った気持ちを相手に直接向ける」です。
たとえば、家事を手伝わずにテレビ観てごろごろしてる夫に腹がたったから、「夫に」文句を言う。
率直に「怒りを感じた相手」に対して、怒りを向けている状態です。「怒りを感じた相手」と「怒りを向けている相手」がイコールになってますね。
そして、腹がたった気持ちは、「原因となった相手に向けることで」スッキリおさまっていきます。
だけど中には、怒りを感じた相手に怒りを出せない人もいます。
その時、怒りはどこへ向かうのでしょうか。
2. 怒りを当事者以外やモノに向ける
1つめの「相手に怒りを出すこと」が出来ない時、私たちは怒りの向け先を「別のところに」変えます。
腹がたつ気持ちを「関係ない人」や「モノ」に向けるのです。
⚫︎ 会社の上司への怒りを家族にぶつけてしまう
⚫︎ 夫への怒りから子どもにあたってしまう
⚫︎ 職場でのイライラをモノに八つ当たりする
など
「怒りを感じた相手」に怒れないので、我慢した怒りが全然関係ない「他人」や「モノ」に向いてしまうんです。
1つめと違って「怒りを感じた相手」と「怒りを向けている相手」がイコールじゃないですね。これが、2つめの怒りの向け先です。
親から言われた言葉にカチンときて言い返す代わりに、大きな音で勢いよくドアを閉める。階段をのぼる足音をドンドン言わせる。そうすることで「怒ってますよアピール」をしてしまう。
職場で頭にきたことがあって、それをつい家族にぶつけてしまう。
いわゆる「八つ当たり」です。
だけど、八つ当たりで怒りを発散しても、実は怒りは無くなっていかないんです。
その証拠に「八つ当たりしてスッキリした!」経験がある方は、少ないはずです。八つ当たりしても、何だかむしゃくしゃして怒りを引きずることがほとんどです。
八つ当たりしても怒りが収まらないのは、怒りを張本人である相手に出せていないからです。繰り返しになりますが、怒りは「原因となった相手に向けることで」スッキリ治っていきます。
八つ当たりしても怒りは解消しないとはいえ、怒りを「外へ発散」できている状態です。
ですが、心理カウンセリングには、相手にも怒りが出せないし八つ当たりも出来ない方も少なくありません。怒りを外へ発散せず、グッとこらえて我慢してしまう方が多いんですね。
もし、怒りを我慢して外に発散しなかったら、「頭にきたー!」という怒りのエネルギーは、どこへ向かうのでしょうか?
3. 怒りを自分に向ける
その怒りは「自分自身へと」向けられます。
相手にも他人や物にも怒れないとき、怒りが出せる「唯一の相手」である自分自身に対して怒りを向けてしまうのです。
自分に対して怒るんですね。
なんでこんなことも出来ないの!
何やってもダメだよね。
私って価値がないから こんな目にあうんだよ
そんな風に、頭の中でずっと自分に怒り続けてしまうんです。先の2つと違って、怒りが「外」へ向かずに「内側」に向けられている状態です。
相手に対する怒りを抑えこむと、その怒りは反転して「自分を攻撃するエネルギー」になってしまうのです。
自分を怒るのも怒られるのも「自分」
自分を責めたり罪悪感を感じる要因は、この3つめの反転して「怒りが自分に向いてる状態」が大きく関係しています。
無意識とはいえ、相手に向けるべき怒りを自分に向けてしまうので、
怒っているのも「自分」怒られているのも「自分」です。
ずっと自分に怒るから「いつも自分を責める」ことになるし、同時にいつも怒られてるのも自分だから、なんだか「自分が悪い感じ」な罪悪感が湧いてくるのです。
冒頭に書いた「いつも自分を責めたり」「罪悪感がつよい」のは「怒りの抑圧」というのが、腑におちますよね。
自分を責めるのをやめるために、怒りを出す
もちろん、自責感や罪悪感には、怒りの抑圧以外の心理的要因も関係してきます。自己肯定感の低さや、幼少期の親との関わりも大きく影響してきます。
ですが、これまでカウンセリングをしてきた経験でいうと、怒りを出せるようになることで、自分を責める気持ちも罪悪感もかなり減っていきます。
社会の中で生きていく上で怒りを直接出せない場面はたくさんあります。出さないほうが得策なケースのほうが多いかもしれません。
怒りを「出せない」のと「出さない」のでは、雲底の差があります。
怒りを「出せない」のは、それしか選択肢がありません。怒りを「出さない」は、出す出さない両方選べる上で「出さない」と自分で選択しています。
目指すは、怒りを出せるようになること。そしてその場の状況に合わせて、怒りを出すかどうかを選べるようになることです。
自分を責める言葉や罪悪感がつよい時は、「最近、怒りを我慢していないかな?」とチェックしてみてください。変化への一歩は、「まず自分で気づくところ」から始まります。
自責や罪悪感がつよいと自己肯定感も低くなってしまいます。それをゆるめるためにも、ぜひ、怒りとの付き合い方を変えて欲しいなと思います。