そう感じる心理のメカニズムと解決法をお伝えします。
自己肯定感を高めるカウンセラーの斉木智美です。
自己肯定感が低い方の中には「自分の中で対立が起きる」という方がいます。
えっ、私だけだと思ってました…
同じように感じている方は意外と多くいらっしゃいます。
この記事では、「自分の中に二人の自分がいる感覚」がしていた体験談、それが起きる心理のメカニズムと解決法をお伝えします。
私の体験談:自分の中に二人の自分がいる感覚
私自身、まだ会社員をしていた頃、「自分の中に二人の自分がいる」と感じていた時がありました。
たとえば、ふと「映画いこうかな」と思ったとするじゃないですか。
そんな時も、
「でも疲れてるから家にいようかな…」
『そうやって行動しないから変われないんだよ』
「確かに行ったら楽しいよね、でもなぁ…」
『これまでも家と会社の往復で、引きこもってばっかり!』
どちらの自分も正論でもっともらしいことを言うんですよね。
楽したい自分の気持ちもすごくよく分かるし、律する自分の言い分もごもっとも。
2つの意見が言い合いをしているうちに時間だけが過ぎて、
結局何もできずに自己嫌悪に飲み込まれてました。
普通に働いている人でも「二人いる感覚」を感じることがあるんですね!
普通に働けていたし、日常生活にも支障はなかったのですが、サクッと行動できなくてモヤモヤしてました。
多重人格ではない
この記事でいう「自分の中に二人いる感覚」は、いわゆる多重人格のことではありません。
多重人格と違って人格は入れ替わらないです。記憶が途切れることもなく、意識もハッキリしている。
ただ、二人の自分がいるかのように対立する意見を言い合うのです。
多重人格?言葉は聞いた事あるけど…。
いわゆる「多重人格」は神経症の一つです。
解離性同一性障害とは:
厚生労働省 e-ヘルスネットより
解離性同一症とは、かつて多重人格障害と呼ばれた神経症で、子ども時代に適応能力を遥かに超えた激しい苦痛や体験(児童虐待の場合が多い)による心的外傷(トラウマ)などによって一人の人間の中に全く別の人格(自我同一性)が複数存在するようになることをさします。
多重人格ではないけど、自分の中に二人いる感覚がする。
一体、何が起きているのでしょう?
対立する二人の言い分
自分の中に二人いる感覚がするのは、
葛藤してるってことですか?
はい、「葛藤」が大きくなりすぎているから、二人いる感覚になるんです。
そもそも「葛藤」とは、
相反する気持ちが複雑に絡み合っている状態のこと。
矛盾する2つの思いが、どちらも強すぎると自分の内面に分裂がおきてしまうんです。
「蕎麦たべたい!」と「絶対うどんやろ!」と意見が分かれて言い合う、みたいな感じでしょうか。笑
どちらも主張つよめだから、まるで自分の中に二人いるような感覚になるんですね。
葛藤がつよくなる理由
「楽になろうとする自分」と「それを律する自分」の対立が起こるのは、
「〜したい」「〜したくない」という欲求や感情を強くもっている。と同時に、「〜すべき」「〜ねばならない」と自分を律する気持ちも人一倍つよくある。
どちらの思いも強く主張するから「自分の中に二人いる感覚」になるのです。
どうやって自分の中に二人いる感覚をゆるめる?
2つの心の声のどちらも「主張つよめ」だからこそ、起きるこの感覚。
どちらの声も自分を想っているが故の主張です。だけど葛藤がつよすぎて、混乱したり行動できない状態は早めに解決したいですよね。
そのために、以下の2つを試してみるといいですよ。
- 普段から自分を満たしておく
- べきねばをゆるめる
普段から自分を満たしておく
まずはこの3つを満たす事から始めてみてください。
- 欲求:「〜したい」「したくない」「食べたい」
- 感情:「〜でも本当は…」、怒り、不安、悲しみ
- 身体:ゆっくり休める、散歩するなど
「欲求」や「感情」の我慢がつづくと、どうしても不満が溜まってしまいます。
ストレスを感じているのに はけ口がない。そういう時って、「やるべきこと」があっても、なかなか気持ちがついてこないんですよね。
だからこそ、
この2つが大事なんですね。すでにあるストレスを処理して、今後溜まらないようにする。
大掃除してから、日々片付けを意識しよう!と基本同じです。
二人いる自分のうちの一方、「楽したい自分」「欲求」側を満たしていくイメージですね!
感情を吐き出したり、自分の欲求を満たしておくと葛藤が起こりづらくなりますよ。
私は、不満や愚痴をノートに書きなぐることから始めました。
「相手を悪く思っちゃいけない」「暴言はいたらダメ」という、べきねば思考を脇において、とにかく書くことで不満を吐き出しました。
不満やストレスが減るだけで、気持ちも軽くなりますし、サクッと行動できるようになりました。
より具体的なことを下の記事に書いたので、ご自身に合うものから試してみてください。
べきねば思考に気づく
正論が強すぎるのも、葛藤をつよめる要因になります。
「〜べき」「ちゃんと」と自分を律する気持ちが、感情や欲求を抑えこんでしまうからです。
「ゆっくり休みたいなぁ」と思っても、「ちゃんとやることやってからね!」と ねじ伏せてしまう、、、そんなイメージです。
外資金融時代の私も「今日だけゆっくり休もうか!」ってならなかったです。自分に厳しかったんですね。
この強すぎる「正論」は元をたどると、
- 親のしつけ
- 社会や集団の声
- こうあるべきという常識
どれも成長する過程で、外から取り入れた「価値観」なんですよね。
とくに厳しい親に育てられたり、「ちゃんと」が求められる環境で育つと、正論が強くなりがちです。
そういえば二人の自分って「母親」と「私」のやりとりと似ているかも…
自分の中に二人いると感じる時は、「親や社会の価値観」と「自分の本音」が衝突をおこしている、とも言えるんです。
正論をゆるめるためには、まず、
まず「気づくこと」なんです。
自分が無意識でやっていることを、しっかり「意識化」する。
気がつかないと「変えよう」とも思わないですし、どこを変えるかも分からないじゃないですか。
だから「どんな正論で自分を抑圧しているのか」を知ることが、変化への一歩です。
カウンセリングでは「正論」を緩めていきますが、その前に「一人でも出来ること」は、
- 感情や欲求など「自分の本音」を書き出す
- その本音を抑圧する「正論」を書き出す
- その正論は「親や社会の価値観」で「自分のものではない」と認識する
私は上の順番で、頭の中の二人の言い分をすべてノートに書き出しました。自分の中で起きていることが可視化できるし、それぞれの言い分を客観的に見れるんですね。
書き出すことで「いまだに親の価値観に沿って、やりたいことを我慢している自分」に気づきました。
気づくだけでもスッキリするし、「親の価値観」と「自分のやりたいこと」の線引きができるので、葛藤はかなり減りました。
その時々で選べる自分になる
自分の中に二人の自分がいる感覚があると、交互に主張するので「結局なにも決まらない」「行動できない」状態になってしまいます。
社会の中で自分らしく生きるためには、「正論」も「感情・欲求」も大事です。
両方とも、あなたが幸せになるために存在しているんです。
私はクライアントさんのこう伝えています。
やりたいことがある時に、二人の自分に足を引っ張られるのではなく、
二人が協力して前へ進めるようになるために、
普段から、それぞれの主張を満たしたり、緩めておくことが大事です。
映画行きたいって時に「行こう行こう!」って軽い気持ちで動けるだけで、すっごい楽だし、自分の欲求と行動が一致するから自己肯定感もあがっていきます。
「映画の後はすぐ帰って休もう。最近疲れてるし…」と、心と身体をしっかり休めておけば、ストレスにも強くなるし、「やるべきこと」だって前向きに捉えられます。
気持ちに余裕があるって大事です。
まとめ:葛藤が教えてくれること
一見、自分の足を引っ張るようなネガティブなことでも、その根底には必ずポジティブな要素が隠れています。あなたを幸せにする「大切なメッセージ」が隠れているんです。
だから「単なる悩み」「嫌な感覚」を取り除く、、、で終わるんじゃなくて、それが起きるキッカケとなった「あなたが気づかないといけないメッセージ」に目を向けて欲しいんです。
自分の中に二人の自分がいる感覚がする時。
それはもしかしたら、
親の価値観や周りの目を気にして、「本当にやりたいこと」が埋もれていませんか?
「葛藤」も「二人いる感覚」が真の意味で解決するのは、
自分らしく「やりたいことをする生き方」へと進み始めた時 なのかもしれません。
以上、「自分の中に二人の自分がいるとき〜葛藤をゆるめる方法〜」という記事でした。